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私たちの身の回りには、ガラス製品とプラスチック製品が溢れています。見た目が似ているものも多く、「この二つの素材、具体的に何が違うのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか。
特に、製品開発やDIYなどで素材を選ぶ際には、それぞれの特性を正確に理解しておくことが重要です。この記事では、プラスチックとガラスの基本的な違いから、それぞれのメリット・デメリット、さらには用途に応じた最適な選び方まで、分かりやすく解説していきます。
プラスチックとガラスの基本的な違いとは?

プラスチックとガラスは、どちらも透明性を持つ素材として広く利用されていますが、その成り立ちや特性は大きく異なります。まず、最も基本的な違いである素材の成分と、見た目や質感から感じられる違いについて見ていきましょう。
素材の成り立ちと主な成分
ガラスの主な原料は、珪砂(けいしゃ)や石灰石、ソーダ灰といった天然資源です。 これらを高温で溶かし、冷やし固めることで作られます。
一方、プラスチックは石油を原料とするナフサを熱分解して作られるモノマー(単量体)を、重合(多数結合させること)させて作られるポリマー(重合体)です。つまり、ガラスは無機物、プラスチックは有機物という根本的な違いがあります。
見た目や質感の比較
ガラス製品は、一般的に硬質でひんやりとした質感を持ち、独特の光沢と高い透明感を誇ります。叩くと高く澄んだ音がします。対してプラスチックは、ガラスよりも温かみのある質感で、軽量です。叩くとコツコツと鈍い音がします。
近年は技術の進歩により、ガラスに引けを取らない透明度を持つプラスチックも増えていますが、表面の硬さや質感には依然として違いが感じられます。
【徹底比較】プラスチックとガラスのメリット・デメリット

素材を選ぶ上で最も重要なのが、特性の比較です。ここでは、8つの具体的な項目を挙げて、プラスチックとガラスのメリット・デメリットを比較します。
どちらが優れているというわけではなく、用途によって長所にも短所にもなり得ることを理解することが大切です。
比較項目 | プラスチック | ガラス |
重さ | ◎ 非常に軽い | △ 重い |
強度 | ○ 衝撃に強く割れにくい(特にポリカーボネート) | × 衝撃に弱く割れやすい |
透明度 | ○ 近年はガラスに近いものも | ◎ 非常に高い |
耐熱性 | △ 種類によるが、一般的にガラスより低い | ○ 高い(特に石英ガラス、ホウケイ酸ガラス) |
耐薬品性 | ○ 種類によるが、比較的高い | ○ 耐酸性に優れるが、アルカリには弱い |
加工性 | ◎ 成形しやすく、デザインの自由度が高い | △ 複雑な形状の加工は難しい |
コスト | ◎ 金型を使えば安価に大量生産可能 | △ 一般的に高価 |
環境負荷 | △ 石油由来、マイクロプラスチック問題 | ○ 天然資源由来でリサイクル性が高い |
重さと取り扱いの容易さ
プラスチックの最大のメリットの一つは、その軽さです。ガラスの約半分の重さであるため、持ち運びや設置が容易になります。大きな窓やパーテーション、持ち運ぶ製品の部品などに使用することで、製品全体の軽量化に貢献します。
一方、ガラスはずっしりとした重さがあり、これが高級感や安定感につながることもありますが、取り扱いには注意が必要です。
衝撃に対する強度と安全性
衝撃に対する強さ、つまり「割れにくさ」はプラスチックが圧倒的に優れています。特にポリカーボネートという種類のプラスチックは、ガラスの200倍以上の耐衝撃性を誇り、ハンマーで叩いても割れません。
このため、安全性が求められる場所、例えば子どものいる空間や、防弾用途にも使用されます。ガラスは衝撃に弱く、割れると破片が飛散する危険性があるため、安全対策として飛散防止フィルムを貼るなどの工夫が必要です。
光の透過率と透明度
光をどれだけ通すかという点では、ガラスに軍配が上がります。高品質なガラスは、光の透過率が非常に高く、視界がクリアです。カメラのレンズや望遠鏡など、精密な光学性能が求められる分野ではガラスが不可欠です。
プラスチックもアクリルなどを中心に高い透明度を持つものが増えていますが、長期間の使用で黄ばんだり、表面に傷がついて透明度が落ちたりすることがあります。
熱に対する強さ(耐熱性)
耐熱性は、一般的にガラスの方が優れています。特にホウケイ酸ガラスは熱衝撃に強く、急激な温度変化にも耐えられるため、実験器具や調理器具などに使用されます。
プラスチックは種類によって耐熱温度が大きく異なりますが、多くはガラスよりも熱に弱く、高温下では変形してしまう可能性があります。ただし、スーパーエンジニアリングプラスチックのように、非常に高い耐熱性を持つ特殊なプラスチックも存在します。
薬品に対する強さ(耐薬品性)
耐薬品性については、一概にどちらが優れているとは言えません。ガラスは酸には非常に強いですが、フッ化水素や強いアルカリ性の薬品には侵されます。
一方、プラスチックは種類によって特定の溶剤に弱いという特性がありますが、PFA(フッ素樹脂)のように、ほとんどの薬品に対して優れた耐性を持つものもあります。 使用する薬品の種類に応じて、最適な素材を選ぶ必要があります。
加工のしやすさとデザインの自由度
プラスチックは、金型に溶かした樹脂を流し込んで成形するため、複雑な形状や曲面なども自由に、かつ大量に作ることが可能です。
これにより、デザインの自由度が格段に高まります。一方、ガラスは硬くてもろいため、複雑な加工や穴あけなどは難しく、コストも高くなります。
コストと量産のしやすさ
初期投資として金型費用がかかるものの、一度金型を作ってしまえば、プラスチックは非常に安価に大量生産が可能です。そのため、工業製品や日用品など、数多く生産される製品に適しています。
ガラスは原料こそ天然資源ですが、成形に手間とコストがかかるため、一般的にプラスチックよりも高価になります。
環境負荷とリサイクル性
環境負荷の観点では、近年議論が活発になっています。ガラスは天然資源から作られ、回収して溶かせば何度でも再生できるリサイクル性に優れた素材です。対照的に、プラスチックは石油を原料としており、海洋マイクロプラスチック問題など、環境への影響が懸念されています。
しかし、軽量であることによる輸送エネルギーの削減や、バイオマスプラスチックのような植物由来の新しい素材開発も進んでいます。
ガラスの代用として注目されるプラスチックの種類

「プラスチック」と一括りに言っても、その種類は様々です。ここでは、特にガラスの代替としてよく利用される、代表的な4つのプラスチックを紹介します。
透明度が高い「アクリル」
「有機ガラス」とも呼ばれるアクリルは、プラスチックの中でも特に透明度が高く、光の透過率はガラスを上回るほどです。加工がしやすく、水族館の巨大な水槽や、店舗のディスプレイ、看板などに広く使われています。
ただし、表面が傷つきやすいというデメリットもあります。
衝撃に強い「ポリカーボネート」
ポリカーボネートは、プラスチックの中でトップクラスの耐衝撃性を誇ります。その強度はアクリルの数十倍、ガラスの200倍以上とも言われ、防弾素材としても利用されるほどです。
カーポートの屋根やヘルメットのシールド、スマートフォンのケースなど、強度と安全性が求められる用途に最適です。
耐薬品性に優れた「PFA」
PFA(フッ素樹脂)は、耐熱性、耐薬品性に非常に優れた高機能プラスチックです。ほとんどの酸やアルカリ、有機溶剤に侵されることがないため、半導体工場の製造ラインや、腐食性の高い薬品を扱う実験器具・容器などに使用されます。
透明性と成形性に優れた「PET」(ポリエチレンテレフタレート)
PETは透明性、耐久性、ガスバリア性また耐薬品性など優れた特性を持ちながらも、比較的安価で成型性も高いため、容器としては化粧品、飲料、食品といった様々な分野で最もガラス代替として使用される素材と言えます。
またリサイクル技術の進歩に伴い、再生PET を使用した商品も多く流通しており、課題となっていた環境負荷についても少しずつ見直されてきています。
用途別!プラスチックとガラスの最適な選び方

これまでの比較を踏まえて、具体的な用途ごとにどちらの素材が適しているかを見ていきましょう。
用途 | 推奨素材 | 主な理由 |
飲食店の窓・パーテーション | アクリル、ポリカーボネート | 軽量で安全性が高い。万が一割れても飛散しにくい。 |
工業製品・自動車部品 | ポリカーボネートなど各種プラスチック | 軽量化による燃費向上。複雑な形状の成形が容易。 |
実験用器具・医療用容器 | ホウケイ酸ガラス、PFA | 高い耐熱性、耐薬品性が求められるため。 |
スマホの画面フィルム | 強化ガラス、プラスチックフィルム | ガラスは透明度と硬度、プラスチックは耐衝撃性と柔軟性。 |
飲食店の窓やパーテーションの場合
飲食店の窓やテーブルのパーテーションには、安全性の観点からアクリルやポリカーボネートが推奨されます。万が一、人がぶつかったり物が当たったりしても、ガラスのように簡単に割れて破片が飛散する危険性が低いためです。
また、軽量で設置が容易な点もメリットです。
工業製品や自動車部品の場合
自動車のヘッドライトカバーや内装部品などには、軽量化と加工のしやすさからポリカーボネートなどのプラスチックが多用されています。
車体を軽くすることで燃費が向上し、複雑なデザインにも対応できるため、プラスチックは自動車産業に不可欠な素材となっています。
実験用器具や医療用容器の場合
ビーカーやフラスコといった実験用器具には、急な温度変化に強いホウケイ酸ガラスが古くから使われています。
また、腐食性の高い薬品を保存する容器には、優れた耐薬品性を持つPFA製のものが選ばれるなど、中に入れる物質の性質に応じて素材を使い分けることが重要です。
スマートフォンの画面フィルムの場合
スマートフォンの画面保護フィルムには、強化ガラス製とプラスチック製の両方があります。強化ガラスは表面硬度が高く傷がつきにくいこと、透明度が高く画面が綺麗に見えることがメリットです。
一方、プラスチック製は衝撃を吸収しやすく割れにくいこと、薄くて柔軟性があることが利点です。
まとめ

プラスチックとガラスは、それぞれに優れた特性を持つ素材です。軽さや安全性、加工性を重視するならプラスチック、透明感や高級感、耐熱性を求めるならガラスが適していると言えるでしょう。
どちらか一方が万能というわけではなく、それぞれのメリット・デメリットを正しく理解し、使用する目的や環境に合わせて最適な素材を選択することが、後悔しないための鍵となります。
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