金型の種類を一覧で徹底解説!各製法の特徴や選び方のポイントも紹介 

金型は、同じ形状の製品を効率良く大量生産するために不可欠な道具であり、日本のものづくり産業の根幹を支える重要な役割を担っています。自動車や家電製品、スマートフォン、日用品に至るまで、私たちの身の回りにある多くの製品は金型を用いて作られています。 

この記事では、金型に関する基礎知識を学びたいと考えている方に向けて、代表的な金型の種類とその特徴、そして自社の目的に合った金型を選ぶためのポイントについて、分かりやすく解説していきます。 

金型とは?ものづくりの基盤を支える重要な道具

ものづくりのカ要”金型”とは?

 

金型とは、主に金属で作られた「型」のことで、材料(金属、プラスチック、ゴムなど)を流し込んだり、圧力をかけたりすることで、目的の形状に成形するための道具です。金型を使うことで、複雑な形状の製品でも、短時間で、かつ均一な品質で大量に生産することが可能になります。 

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金型が「マザーツール」と呼ばれる理由 

金型は、製品そのものではありませんが、製品を生み出すための「母」となる存在であることから、「マザーツール」や「製品の生みの親」と呼ばれることがあります。金型の品質が製品の品質を直接左右するため、その設計や製造にはミクロン単位の極めて高い精度が求められます。

まさに、ものづくりの品質と生産性を決定づける、基盤となる重要な道具なのです。 

【一覧表】加工方法で分類される主な金型の種類

加工法別の金型の種類

 

金型は、加工する材料や成形方法によって、さまざまな種類に分類されます。ここでは、代表的な8種類の金型とその概要を表にまとめました。 

金型の種類 主な材料 加工方法の概要 主な製品例 
プレス用金型 鋼板、非鉄金属 材料を金型で挟み、抜き・曲げ・絞りなどの加工を行う 自動車のボディ、家電製品の筐体 
プラスチック用金型 プラスチック樹脂 溶かした樹脂を金型に注入し、冷やし固める スマートフォンケース、ペットボトル 
鍛造用金型 鋼、非鉄金属 材料を叩いて圧力を加え、強度を高めながら成形する エンジン部品、レンチなどの工具 
鋳造用金型 アルミ合金など 溶かした金属を金型に流し込み、冷やし固める エンジンブロック、マンホールの蓋 
ダイカスト用金型 アルミ合金、亜鉛合金 溶かした金属を金型に高圧で注入する パソコンの筐体、ミニカー 
ゴム用金型 天然ゴム、合成ゴム 材料を金型に入れ、熱と圧力を加えて成形する タイヤ、パッキン 
ガラス用金型 ガラス 溶かしたガラスを金型に入れ、圧力をかけたり空気を吹き込んだりして成形する ガラス瓶、コップ 
粉末冶金用金型 金属粉末 金属の粉末を金型に入れて圧縮し、焼き固める 歯車、モーター部品 

プレス用金型 

プレス用金型は、金属の板(鋼板など)を加工するための金型です。プレス機にセットされ、強い圧力で材料を挟み込むことで、切断(抜き)、曲げ、成形(絞り)などを行います。

自動車のボディパネルや家電製品の外装など、板金製品の多くがこの方法で作られています。 

プラスチック用金型 

プラスチック用金型は、プラスチック製品を成形するための金型で、生産される金型の中で最も多い種類と言われています。加熱して溶かしたプラスチック樹脂を金型内に注入し、冷却して固めることで製品を作ります。

日用品から工業製品まで、あらゆるプラスチック製品の生産に利用されています。 

鍛造用金型 

鍛造(たんぞう)用金型は、金属の塊に大きな圧力を加えて成形するための金型です。金属を叩いて鍛えることで、内部の結晶構造が緻密になり、強度が高い製品を作れるのが特徴です。

特に高い強度が求められる、自動車のエンジン部品や航空機の部品、工具などの製造に用いられます。 

鋳造用金型 

鋳造(ちゅうぞう)用金型は、アルミニウム合金などの溶かした金属(湯)を型に流し込み、冷やし固めて製品を作るための金型です。複雑な形状の製品を一体で製造できる利点があります。

自動車のエンジンブロックや建設機械の部品など、大型で複雑な形状の製品の製造に適しています。 

ダイカスト用金型 

ダイカスト用金型は鋳造用金型の一種で、溶かした金属を高温・高圧の状態で金型に高速で注入する方法です。これにより、寸法精度が高く、表面が滑らかな「鋳肌(いはだ)」の美しい製品を短時間で大量生産できます。

自動車の精密部品や、ノートパソコンのボディなどに使われます。 

ゴム用金型 

ゴム用金型は、天然ゴムや合成ゴムを材料として、工業用部品や日用品を成形するための金型です。材料を金型に入れて熱と圧力を加えることで化学反応(加硫)を促進させ、弾性のあるゴム製品を作ります。

自動車のタイヤや、工業製品に使われるパッキンなどが代表例です。 

ガラス用金型 

ガラス用金型は、溶かしたガラスを成形するための金型です。金型にガラスを押し込む「押型」や、金型内でガラスに空気を吹き込んで膨らませる「吹型」などの方法があります。

飲料の瓶やコップ、食器、照明器具など、様々なガラス製品の生産に利用されています。 

粉末冶金用金型 

粉末冶金(ふんまつやきん)用金型は、金属の粉末を材料として製品を作るための金型です。金属粉末を金型に入れて高圧で押し固めた後、高温で焼き固める(焼結)ことで製品を製造します。

複雑な形状の歯車など、切削加工では製造が難しい小型部品の大量生産に適しています。 

プレス用金型の種類と特徴

プレス用金型の種類と特徴

プレス用金型は、加工内容によってさらに細かく分類されます。ここでは代表的な4つの種類を紹介します。 

種類 特徴 主な用途 
抜き型 材料から特定の形状を打ち抜く 精密部品のブランク加工 
曲げ型 材料をV字やL字などに折り曲げる ケースやカバーの縁加工 
絞り型 一枚の板から継ぎ目のない容器形状を作る 飲料缶、鍋 
順送型 複数の工程を一つの金型内で行う コネクタなどの電子部品 

抜き型 

抜き型は、せん断加工の一種で、金属板から目的の形状を打ち抜いたり、穴を開けたりするための金型です。外形を打ち抜く加工を「ブランク抜き」、穴を開ける加工を「穴抜き」と呼びます。製品の最も基本的な形状を作り出す工程で用いられます。 

曲げ型 

曲げ型は、抜き加工された材料を、V字、L字、U字などに折り曲げるための金型です。パンチ(凸型)とダイ(凹型)で材料を挟み込み、圧力を加えることで目的の角度に曲げます。製品に立体的な形状を与えるために不可欠な金型です。 

絞り型 

絞り型は、一枚の平面な金属板から、継ぎ目のない立体的な容器(例えば、コップや鍋のような形)を成形するための金型です。材料にしわや亀裂が入らないように、板を押さえつけながらパンチでダイに押し込んでいく、高度な技術が要求される加工方法です。 

順送型 

順送型は、一つの金型の中に抜き、曲げ、絞りといった複数の加工工程が順番に配置されている金型です。コイル状の材料を自動で送りながら、プレス機が一回上下するごとに各工程の加工が同時に進み、最終工程で完成品が排出されます。

非常に生産性が高く、コネクタなどの電子部品のように、小型で複雑な製品の大量生産に適しています。 

プラスチック用金型の種類と特徴

プラスチック用金型の種類と特徴

プラスチック製品の成形方法も多岐にわたり、それぞれ専用の金型が使用されます。 

種類 特徴 主な用途 
射出成形金型 溶融した樹脂を高圧で金型に射出する 家電製品、雑貨、自動車部品、化粧品容器 
圧縮成形金型 粉末状の樹脂を金型に入れ、熱と圧力で固める 食器、電気部品 
ブロー成形金型 樹脂を風船のように空気で膨らませて成形する ペットボトル、シャンプー容器 

射出成形金型 

射出成形は、最も一般的なプラスチックの成形方法です。加熱して溶かしたペレット状のプラスチック材料を、注射器のように金型の中に高圧で射出し、冷却して固めます。

複雑な形状の製品でも精密に作ることができ、非常に生産性が高いのが特徴です。 

圧縮成形金型 

圧縮成形は、主に熱硬化性樹脂(一度固まると再加熱しても軟化しない樹脂)の成形に用いられる方法です。金型の凹部(キャビティ)に粉末状や錠剤状の材料を入れ、凸部(コア)で圧力をかけながら加熱して硬化させます。

メラミン樹脂製の食器などがこの方法で作られます。 

ブロー成形金型 

ブロー成形は、中が空洞になっている製品(中空製品)を作るための成形方法です。試験管のような形に押し出したプラスチック(パリソン)を金型で挟み、内部に空気を吹き込んで風船のように膨らませ、金型の内壁に押し当てて冷却・固化させます。

ペットボトルや灯油タンクなどが代表的な製品です。

金型を選ぶ際に比較すべき4つのポイント

金型を選ぶ際に比較すべき4つのポイント

多種多様な金型の中から、自社の製品に最適なものを選ぶためには、いくつかの重要なポイントを総合的に判断する必要があります。 

ポイント1:製品の材質 

まず、製品を何で作るのか(材質)によって、使用できる金型が決まります。例えば、金属を加工するならプレス金型や鍛造金型、プラスチックなら射出成形金型というように、材質の特性に合った加工方法と金型を選定することが最初のステップです。 

ポイント2:生産数量(ロット数) 

どれくらいの数の製品を作る計画なのか(生産数量)も、金型選びの重要な要素です。数万個、数百万個といった大量生産であれば、初期コストは高くても生産性の高い順送金型や精密な金型が適しています。

一方、数百個程度の小ロット生産や試作品の場合は、簡易的な構造の金型(簡易金型)でコストを抑えるという選択肢もあります。 

ポイント3:製品の形状と精度 

製品の形状が単純か複雑か、また、どれくらいの寸法精度が求められるかによっても、金型の構造や作り方が変わってきます。

薄肉で複雑な形状の製品を高精度で作りたい場合はダイカスト、強度が必要な部品であれば鍛造が適しているなど、製品の仕様を明確にすることが重要です。 

ポイント4:コストと納期 

金型の製作には、設計から加工、組み立て、調整まで多くの時間と費用がかかります。一般的に、複雑で高精度な金型ほどコストは高くなり、製作期間も長くなります。

製品のライフサイクルや事業計画を考慮し、品質、コスト、納期のバランスが取れた最適な金型を選定することが、ビジネスの成功に繋がります。 

まとめ

まとめ

本記事では、ものづくりの基盤である金型について、その基本的な役割から代表的な種類、そして選定のポイントまでを解説しました。

金型は、加工する材料や製品の形状、生産数などに応じて非常に多くの種類が存在し、それぞれに異なる特徴があります。

この記事で得た知識を基に、自社の製品開発や生産活動に最適な金型選びを進めてください。

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