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化粧品を開発する上で、中身と同じくらい重要なのが「ネーミング」です。どんなに優れた商品でも、名前の印象一つで売上が大きく左右されることがあります。しかし、商品の魅力を的確に伝え、かつ消費者の記憶に残る名前を考えるのは簡単なことではありません。
この記事では、化粧品のネーミングに悩む方のために、売れる名前を生み出すための実践的なステップ、アイデアを広げる発想法、そして法律上の注意点まで解説します。
化粧品のネーミングが売上を左右する理由

化粧品のネーミングは、単なる識別記号ではありません。ブランドの世界観を伝え、消費者の購買意欲を刺激する、強力なマーケティングツールです。
なぜネーミングがそれほどまでに重要なのか、3つの側面から解説します。
ブランドの第一印象を決める
消費者が商品を初めて認識する際、その名前が第一印象を大きく左右します。例えば、「潤い」をテーマにした化粧水に「アクア」や「モイスト」といった言葉が入っていると、消費者はその効果を直感的にイメージできます。
名前は、ブランドが伝えたいメッセージを凝縮し、消費者の心に届ける最初のステップなのです。
独自性を出し他社製品と差別化する
市場には数多くの化粧品が溢れており、その中で自社の商品を選んでもらうためには、他社との差別化が不可欠です。記憶に残りやすく、ユニークな名前は、競合製品との明確な違いを生み出します。
消費者が商品を口コミで広める際にも、覚えやすい名前は大きな武器となります。
SEOやSNSでの検索しやすさに影響する
現代のマーケティングにおいて、Web上での見つけやすさは非常に重要です。消費者が検索エンジンやSNSで商品を検索する際、入力しやすく、かつ他の言葉と混同しにくい名前は、SEO(検索エンジン最適化)上有利に働きます。
覚えにくい名前や、一般的すぎる単語を使った名前は、検索結果に埋もれてしまうリスクがあります。
| 重要性 | 具体的な影響 |
| 第一印象の決定 | 商品のコンセプトや効果を瞬時に伝え、興味を引く |
| 他社との差別化 | 無数の商品の中から選ばれるための独自性を確立する |
| 検索性 | オンラインでの見つけやすさ、口コミの広がりやすさを向上させる |
化粧品のネーミングを生み出す5つの実践ステップ

魅力的で効果的なネーミングは、ひらめきだけに頼るのではなく、論理的なステップを踏むことで生み出しやすくなります。ここでは、誰でも実践できる5つのステップを紹介します。
ステップ1:商品のコンセプトとターゲットを言語化する
まず、その商品が「誰に」「何を」提供するのかを明確に言語化します。ターゲット顧客の年齢、ライフスタイル、価値観などを具体的に描き、商品のコンセプト、独自性、そして顧客にどのようなベネフィットをもたらすのかを書き出してください。
この土台がしっかりしているほど、ネーミングの方向性がブレにくくなります。
ステップ2:魅力が伝わるキーワードを洗い出す
次に、ステップ1で言語化した情報から、商品の魅力を表すキーワードをできるだけ多くリストアップします。「商品の特徴(成分、テクスチャー、香りなど)」と「顧客が感じるベネフィット(美白、保湿、癒し、自信など)」の2つの側面から考えると、アイデアが広がりやすいです。
この段階では、質より量を重視し、自由な発想で単語を書き出しましょう。
ステップ3:キーワードを組み合わせて名前の原型を作る
洗い出したキーワードを様々に組み合わせて、ネーミングの原型を作っていきます。この時点では完成形を目指す必要はありません。語呂の良さや響きを意識しながら、複数のパターンを作成することが重要です。
例えば、「潤い」と「輝き」というキーワードから「うるキラ」「ルミナスモイスト」といった組み合わせが考えられます。
ステップ4:アイデアを広げる7つの発想法を試す
キーワードの単純な組み合わせだけでは行き詰まってしまうこともあります。次の章で詳しく解説する「アイデアを広げる7つの発想法」を活用して、さらに多様なネーミング案を生み出しましょう。
これにより、ありきたりな名前から脱却し、独自性のあるアイデアが生まれやすくなります。
ステップ5:候補案を客観的な視点で見直す
複数の候補案が出揃ったら、客観的な視点で見直します。以下の項目を参考に、各候補案を評価・選定していきましょう。
- コンセプトやターゲット層に合っているか?
- 覚えやすく、発音しやすいか?
- 他の商品やブランドと混同しないか?
- 商標登録が可能か?
- ドメイン名やSNSアカウント名が取得できるか?
ネーミングのアイデアを広げる6つの発想

キーワードの洗い出しが終わったら、次はそれを魅力的な名前に昇華させるステップです。ここでは、ネーミングのアイデアを飛躍的に広げる6つの発想法を紹介します。
複数の言葉を組み合わせる
最も基本的な手法です。商品の特徴やベネフィットを表すキーワードを連結させたり、一部を省略して組み合わせたりします。
例えば、「雪」のような「肌」と、植物の精髄や成功の意味を込めた「精」を組み合わせて「雪肌精」が生まれたように、コンセプトを的確に表現できます。
他言語に翻訳して響きを変える
日本語のキーワードを英語やフランス語などの他言語に置き換えることで、洗練された、あるいは高級感のある印象を与えることができます。
花王の「ビオレ(Biore)」は、ギリシャ語の「Bios(生活)」と「Ore(満ち足りた)」を組み合わせた造語です。
接頭辞・接尾辞を加えて造語を作る
既存の単語に接頭辞(例:re-,ex-)や接尾辞(例:-ism,-logy)を付け加えることで、オリジナリティのある造語を作れます。
「uruoi(うるおい)」に「-ism(主義)」を加えて「Uruoism」とすれば、「うるおいへのこだわり」という強い意志を表現できます。
キーワードから連想を広げる
一つのキーワードから連想ゲームのように言葉をつなげていく方法です。「潤い」→「雫」→「朝露」→「モーニングデュー」のように、直接的ではないものの、商品の世界観を表現する美しい言葉にたどり着くことがあります。
商品を擬人化してみる
商品をキャラクターのように捉え、人物名のような名前を付ける手法です。特に「〇〇ちゃん」「〇〇さん」といった親しみやすい名前は、消費者に愛着を抱かせ、ファン獲得につながることがあります。
有名ブランドのネーミング由来を参考にする
成功している有名ブランドが、どのような思いや背景でその名前を付けたのかを調べることも、大きなヒントになります。
例えば、資生堂の「マキアージュ(MAQUILLAGE)」は、フランス語で「化粧」そのものを意味する王道の言葉です。
| 発想法 | 特徴 | 事例 |
| 組み合わせ | キーワード同士を連結し、コンセプトを分かりやすく表現する | 雪肌精 |
| 他言語化 | 外国語を用いて、洗練されたイメージや高級感を演出する | ビオレ |
| 造語 | 接辞などを活用し、オリジナリティと独自の世界観を創出する | Uruoism(架空) |
| 連想 | 間接的な言葉で、より詩的・情緒的な世界観を表現する | モーニングデュー(架空) |
化粧品のネーミングで必ず守るべき3つの注意点

魅力的な名前が浮かんでも、すぐに決定してはいけません。化粧品のネーミングには、法律や業界のルールが関わってきます。
ここでは、トラブルを避けるために必ず確認すべき3つの注意点を解説します。
他社の商標権を侵害していないか確認する
考えた名前が、すでに他社によって商標登録されていないかを確認する必要があります。もし登録されている商標と同一または類似の名前を使用してしまうと、商標権の侵害となり、販売停止や損害賠償を求められる可能性があります。
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)などを利用して、必ず事前に調査しましょう。
参考:特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)公式サイト
薬機法で禁止されている表現を使わない
化粧品の販売名(容器や箱に記載される正式名称)には、薬機法(旧・薬事法)による厳しい規制があります。特に、医薬品と誤解されるような効果効能を示唆する表現は使用できません。
例えば、「アンチエイジング」「若返り」「ニキビが治る」といった表現は、化粧品の範囲を超えるため認められません。
参考:日本化粧品工業連合会「化粧品等の適正広告ガイドライン」
参考:厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」
化粧品表示に関する公正競争規約を遵守する
薬機法に加え、「化粧品の表示に関する公正競争規約」という業界の自主基準も存在します。これには、虚偽や誇大な表現を禁止する具体的なルールが定められています。例えば、「最高の」「世界一の」といった最上級表現や、事実と異なる製造方法(例:「医師が開発」)などを名前に使用することはできません。
これらのルールを遵守し、消費者に誤解を与えない誠実なネーミングを心がけることが重要です。
参考:全国公正取引協議会連合会「化粧品の表示に関する公正競争規約及び同施行規則」
参考:化粧品公正取引協議会「化粧品の表示に関する公正競争規約」
まとめ:魅力的なネーミングで商品を成功に導きましょう

化粧品のネーミングは、ブランドの成功を左右する重要な要素です。商品のコンセプトを深く理解し、論理的なステップと自由な発想を組み合わせることで、消費者の心に響く、売れる名前を生み出すことができます。
今回ご紹介した実践ステップや発想法を参考に、ぜひあなたの商品の魅力を最大限に引き出すネーミングを考えてみてください。そして、薬機法や商標権といったルールを必ず守り、自信を持って商品を市場に送り出しましょう。
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