クリーンルーム とは

クリーンルームのクラスとは?規格の違いと業界別の清浄度基準を徹底解説

クリーンルームの「クラス」とは空気の清浄度を示す規格

クリーンルームのクラストは

クリーンルームの「クラス」とは、その空間にどれだけ微細な粒子が浮遊しているか、つまり「空気の清浄度(清浄度)」を示すための国際的な基準です。

製品の品質を大きく左右する塵やホコリ、微生物などを厳格に管理する必要がある産業分野において、このクラス分けは極めて重要な指標となります。 

身近な空間との比較でわかる清浄度のレベル

私たちが日常的に過ごしている環境にも、目には見えない多くの粒子が存在します。

例えば、一般的なオフィスの室内は、クリーンルームの規格でいえばクラス1,000,000以上にもなると言われています。空気がきれいと感じる森林や海上ですら、クラス10,000から100,000程度です。

これに対し、クリーンルームでは、これらの環境とは比較にならないほど高度に清浄な空間が維持されています。 

クラスの数字が小さいほど清浄度が高い

クリーンルームのクラスは、規格によって表記方法が異なりますが、一般的に数字が小さいほど空気中に含まれる粒子が少なく、より清浄度が高いことを意味します。

例えば、後述する米国連邦規格では、「クラス100」は「クラス1,000」よりも10倍清浄な環境ということになります。

自社の製品に求められる品質に応じて、適切なクラスのクリーンルームを選択することが不可欠です。

クリーンルームのクラスを決める2大規格

クリーンルームのクラスを決める2大規格 

クリーンルームのクラスを定義する規格として、主に「米国連邦規格(FED規格)」と「ISO規格」の2つが広く用いられています。

それぞれの規格で基準となる粒子のサイズや体積が異なるため、内容を正しく理解しておくことが重要です。 

現在も慣用される「米国連邦規格(FED規格)」

米国連邦規格(FED-STD-209D)は、古くから日本でも広く使われてきた規格です。1立方フィート(約28.3リットル)の空気中に、0.5μm(マイクロメートル)以上の大きさの粒子が何個存在するかによってクラスを定義します。

例えば、粒子数が1,000個以下であれば「クラス1,000」、100個以下であれば「クラス100」となります。その分かりやすさから、国際規格であるISOが主流となった現在でも、慣習的に使用される場面が多くあります。 

クラス/粒径0.1μm0.2μm0.3μm0.5μm5μm
クラス1 35 7.5  
クラス10 350 75 30 10  
クラス100  750 300 100  
クラス1,000    1,000 
クラス10,000    10,000 70 
クラス100,000    100,000 700 

国際的な標準「ISO規格」

ISO規格(ISO 14644-1)は、1999年に制定された国際的な統一規格です。

こちらは、1立方メートルの空気中に、0.1μm以上の大きさの粒子が何個存在するかを基準に、「ISOクラス1」から「ISOクラス9」まで分類します。

現在、多くの国でこのISO規格が公式な標準として採用されており、JIS規格(JIS B 9920)もISO規格に準拠しています。

クラス/粒径 0.1μm 0.2μm 0.3μm 0.5μm 1.0μm 5.0μm 
クラス1 10     
クラス2 100 24 10   
クラス3 1,000 237 102 35  
クラス4 10,000 2370 1020 352 83  
クラス5 100,000 23,700 10,200 3,520 832 29 
クラス6 1,000,000 237,000 102,000 35,200 8,320 293 
クラス7    352,000 83,200 2,930 
クラス8       35,200,008,320,00293,00
クラス935,200,000 8,320,000 293,000 

米国連邦規格とISO規格の対応表

基準が異なるため完全な一致ではありませんが、各規格のクラスはおおよそ以下のように対応しています。

取引先との仕様確認などの際には、どちらの規格で話しているのかを明確にすることが重要です。 

ISOクラス 米国連邦規格 
ISOクラス3 クラス1 
ISOクラス4 クラス10 
ISOクラス5 クラス100 
ISOクラス6 クラス1,000 
ISOクラス7 クラス10,000 
ISOクラス8 クラス100,000 

【業界別】求められるクリーンルームのクラス目安

求められるクリーンルームのクラス目安 

製造する製品や作業内容によって、求められる清浄度のレベルは大きく異なります。

ここでは、主要な業界で求められるクラスの目安をご紹介します。 

半導体・電子部品業界

ナノレベルの微細な回路を扱う半導体の製造プロセスでは、極めて高い清浄度が要求されます。肉眼では見えない微小な粒子が付着するだけで、製品の不良に直結するためです。

そのため、製造工程の中心部ではISOクラス3〜5(米国連邦規格クラス1〜100)という、最高レベルのクリーン環境が必要です。 

医薬品・医療機器業界

医薬品や医療機器の製造現場では、製品の安全性と有効性を確保するため、微生物や異物による汚染を徹底的に防ぐ必要があります。

特に、注射剤などの無菌製剤を扱うエリアでは、ISOクラス5(米国連邦規格クラス100)が求められます。

一般的な医薬品の製造でも、ISOクラス7〜8(同クラス10,000〜100,000)の環境が基準となります。 

化粧品業界

肌に直接触れる化粧品は、医薬品と同様に品質と安全性が厳しく問われる製品です。製品の汚染を防ぎ、品質を安定させるため、製造工程、特に内容物の充填工程などでは清浄度の高い環境が不可欠です。

一般的に、ISOクラス7〜8(米国連邦規格クラス10,000〜100,000)のクリーンルームが用いられます。 

食品業界

食品分野では、細菌やカビなどの微生物による汚染を防ぎ、食中毒のリスクを低減して賞味期限を延ばす目的でクリーンルームが活用されます。

例えば、弁当や総菜の冷却・梱包工程、洋菓子や和菓子の製造工程などで、ISOクラス6〜8(米国連邦規格クラス1,000〜100,000)の環境が求められることが多くあります。 

クリーンルームの清浄度を保つ4原則

クリーンルームの清浄度を保つ4原則 

適切なクラスのクリーンルームを導入しても、その清浄度を維持できなければ意味がありません。

クリーンルームの運用には、以下の「4原則」を徹底することが不可欠です。 

原則1:清浄空間に汚染物質を持ち込まない

最も重要なのは、外部から汚染物質を持ち込まないことです。作業者は専用のクリーンウェアを着用し、エアシャワーを通って入室します。

また、物品の搬入にも専用のパスボックスを使用するなど、人やモノの出入りを厳格に管理する必要があります。 

原則2:清浄空間内で汚染物質を発生させない

クリーンルーム内でも、作業者の動きや設備の稼働によって粒子は発生します。

そのため、発塵の少ない素材でできたクリーンウェアや器具を使用したり、作業者の動きを最小限に抑えたりするなどの対策が必要です。 

原則3:発生した汚染物質を堆積させない

室内の気流を工夫し、発生した粒子が床や壁、製品表面に溜まらないようにすることも重要です。

例えば、天井から床へ空気を一方向に流す「垂直層流方式」などは、粒子を速やかに室外へ排出するのに効果的です。 

原則4:発生・堆積した汚染物質を除去する

高性能なHEPAフィルターやULPAフィルターを通じて室内の空気を常に循環させ、浮遊する粒子を濾過し続けます。

また、定期的に専用の用具で清掃を行い、壁や床、設備などに付着した粒子を物理的に取り除くことも、清浄度を維持するために欠かせません。

他に、クリーンルーム内を外部よりも気圧の高い「陽圧」状態にすることも重要です。空気は気圧の高いほうから低いほうに流れるため、クリーンルーム内が陽圧であることにより外気の流入を防ぐことができます。

また、外部へ排出する方向で空気の流れを生み出すことで、原則として掲げる「持ち込まない」「堆積させない」「除去する」ことが可能になります。このように、クリーンルームは陽圧であるからこそ清浄な状態を維持できると言えます。

化粧品製造におけるクリーンルームの重要性

化粧品製造におけるクリーンルームの重要性

化粧品は、消費者の肌に直接触れるデリケートな製品であり、その品質と安全性は極めて重要です。

ここでは、化粧品製造の現場に焦点を当て、求められるクリーンルームの役割について具体的に見ていきましょう。 

品質と安全性を保証するクラス100,000の環境

化粧品は、消費者の肌に直接触れるデリケートな製品であり、その品質と安全性は極めて重要です。製造過程での微生物や異物の混入は、製品の変質や肌トラブルの原因となり、企業の信頼を大きく損なう可能性があります。

このリスクを避けるため、化粧品の製造、特にクリームやローションなどを容器に充填する工程では、最低でもISOクラス8(米国連邦規格クラス100,000)に相当するクリーンな環境が求められます。

このレベルの清浄度を確保することで、製品の安全性を保証し、消費者に安心して使用してもらえる高品質な製品を供給することができます。 

プラスチック容器製造における清浄度管理

化粧品そのものだけでなく、それを入れる容器の清浄度も品質を左右する重要な要素です。

弊社では、ISOクラス8(米国連邦規格クラス100,000)に相当するクリーン環境下でプラスチック容器の製造を行っています。

容器の段階から清浄度を徹底管理することで、お客様が製造する化粧品の内容物を汚染するリスクを最小限に抑え、最終製品の品質維持に貢献します。

清浄な環境で製造された高品質な容器は、お客様の製品の安全性をさらに高める強みとなります。

まとめ

まとめ

クリーンルームのクラスは、製品の品質と安全性を守るための重要な基準です。

米国連邦規格とISO規格の違いを理解し、自社の業界で求められる清浄度を把握することが、最適なクリーンルーム導入の第一歩となります。

本記事を参考に、自社の品質管理体制の構築や改善にお役立てください。 

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